「だし」について
「だし」について、あなたはどのくらい知っていますか?
日本食には欠かせない「だし」の世界をご紹介します。
名脇役であり、主役でもある「だし」の奥深さ
「だし」は、料理の基本の味を決めるもの。
メインとなる具材を際立たせる脇役としての役目も担いながら、料理の中では欠かせない要素となっています。
一般的なカツオだしや昆布だし、シイタケのだしを始めとして、幅広い用途とバラエティ豊かな食材を使用して「だし」は引かれます。
複数のだしをブレンドした合わせ出汁など、多様な食材と組み合わせから生まれる「だし」の世界は非常に奥深く、使いこなすことで料理が一段とレベルアップできます。
「だし」の語源は「煮出し汁」
「だし」は【煮出し汁】を短くした言葉です。
料理工程の「煮出す」という言葉が、そのまま「だし」の呼び名になりました。
食材を煮込んで引いたこの「だし」を、日本では古くから好んで料理に使ってきました。
煮出した液は、食材から旨味や風味、アミノ酸などの栄養素が溶け出し、料理の味のベースとなります。
使用する食材の旨味を引き出すことで、料理全体の味やバランスを整える役割を果たしています。
世界のだし
素材を煮出した汁は「出汁」。
この「出汁」は世界中にあります。
世界にはどんな出汁があるでしょう?
西洋料理の基礎と言われるイタリア料理では、出汁にあたるものがブロード(brodo)。
日本ではブイヨンやブロスと呼ばれるスープのことです。
ブイヨンというと、固形スープの素や顆粒状のものを思い浮かべるかもしれませんが
もともと野菜やお肉をグツグツ煮こんでできるお出汁(スープ)のことです。
ブイヨンはもともとフランス語です。
フランス料理の出汁は濃度や使用目的によって呼び名がちがいます。
ブイヨン:牛脛すね肉・牛骨・鶏がらなどに香味野菜,香辛料を加え,静かに長時間煮たもの。
スープのベースとして使われ、ソースとしては使われないため、フォンとは区別される。
コンソメ:(consommé)「完成された」という意味。そのまま飲んでおいしいスープ、まさに完成されたスープのことをいう。ブイヨンにさらに具材を加え、濾して透きとおったスープに仕上げる。
フォン:肉や魚などを煮出した、だし汁のこと。魚を使うものはフュメと呼び名が変わる。主にソースのベースとして使われる。
フォンがつくソースでよく耳にするのが「フォン・ド・ヴォ―」。これは「子牛の出汁」。仔牛の骨やガラと香味野菜を煮出して作ります。
他にフォン・ド・ヴォライユ(鶏の出汁)やフォン・ド・オマール(オマール海老の出汁)などがあります。
ジュ:フォンと同様、ソースのベースになりますが、フォンよりも素材の香りを生かすように、フォンよりも短時間(フォンは4~8時間煮込むところ、ジュは1~2時間煮込む)で作ります。
日本の出汁は、だしをとる前の素材作りに時間をかけますが、フランスの出汁は新鮮な材料をを使うことが大事です。
中華料理の出汁は、ブイヨン同様、素材を長時間グツグツ煮こむことで作ります。
材料によって、また清濁(澄んでいるか濁っているか)によってそれぞれ2種類に分かれます。
葷湯(フンタン):動物性、魚介類の湯で、鶏や豚の骨や肉、干貝は干アワビ、干エビが原料です。
素湯(スゥタン)」:植物性主体でしいたけや豆もやし、野菜の素材です。
清湯(チンタン):澄んだスープ
白湯(パイタン):濁ったスープ
嬉しいだし効果
「だし」は天然の万能調味料!?
美味しいだけじゃありません。
驚きの秘めた力があります!
食塩の量を減らせる!減塩食の強い味方
塩分が多いといわれる日本人の食事。
厚生労働省がまとめた「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」によれば、日本人の1日の塩分摂取量の目安は成人男性で7.5g未満、女性で6.5g未満とされています。
例えば、一般的なホッケの開きには3.6gの食塩に相当する塩分が含まれているとされており、これだけで女性の一日の目安の半分以上を摂取してしまうことになります。
ここで、「だし」の旨味を使えば、塩分をたくさん使うことなく美味しい料理を作ることが可能です。
洋食でも、塩を「だし」に置き換えることで、減塩食に!
「だし」を上手に活用することで、健康的な食事を目指すことができるんです。
美味しく栄養摂取!豊富な栄養が含まれています
「だし」は美味しいだけではなく、栄養も摂れます。
例えば、カツオだしには「ヒスチジン」「アンセリン」が多く含まれていて、血行をサポートし、疲れからの回復を助けるといわれています。
また、昆布のだしには「アルギン酸」が含まれ、血糖値の急激な上昇や脂肪の吸収が緩やかになるといわれています。
健康を意識したいときや、ダイエットをしたいときに「だし」を加えれば、栄養と満足感を両立できるんですよ。